子供のかんしゃくは砂糖が原因?管理栄養士が解説

「甘いものを食べると子供が興奮して、かんしゃくを起こしやすくなる」という話はよく聞きますが、これまでの研究をまとめた分析では、砂糖が子供の行動を変えるという結果ははっきり出ていません。かんしゃくは発達の途中でよく見られるもので、空腹・眠気・疲れなど、いろいろなことがきっかけになります。とはいえ砂糖のとりすぎは虫歯や体重増加と関係するため、量の目安を知っておくことは大切です。
砂糖を食べるとかんしゃくが起きやすくなるの?

砂糖と子供の行動の関係は、数十年にわたって研究されてきました。
1995年に米国医師会雑誌(JAMA)に掲載されたメタ分析では、砂糖と、砂糖の代わりに人工甘味料を使った偽薬(プラセボ)を、本人・保護者・研究者のいずれにも分からない形で比べた23件の研究がまとめられました。その結果、砂糖が子供の行動や認知(考える力)に影響するとはいえないと結論づけられています。
ただし同じ論文では、小さな影響や、一部の子供への影響までは否定できないとも述べられています。「まったく関係ない」と言い切れるわけではありません。
「甘いものを食べたから興奮している」と感じるのはなぜ?
親の思い込みが関係している可能性を示した研究があります。
- 「砂糖に敏感」と母親が感じている5〜7歳の男の子に、実際には全員に砂糖を含まない飲み物を与えました
- 母親の半数には「お子さんは砂糖をたくさんとりました」と伝えました
- そう伝えられた母親は、わが子を「より落ち着きがない」と評価し、そばで見張る・注意するといった関わりが増える傾向がありました
誕生日会やお祭りなど、甘いものが出る場面は、もともと子供が興奮しやすい場面でもあります。「砂糖のせい」と見えるものの中には、場面や大人の受け止め方の影響も含まれているのかもしれません。
砂糖以外にどんなことがかんしゃくのきっかけになる?

米国小児科学会(AAP)の保護者向け情報では、かんしゃくは発達の過程でみられる普通の行動で、1〜3歳ごろに多いと説明されています。かんしゃくの起こりやすさには、子供の気質による個人差もあります。
よくあるきっかけを整理すると、次のようになります。
| きっかけ | 家庭でできること |
|---|---|
| おなかがすいている | 外出時に軽食を用意しておく |
| 眠い・疲れている | 睡眠やお昼寝の時間を優先する |
| 環境の変化・予定の詰め込みすぎ | その日の子供の様子を見て、無理をさせない |
| 体の不調・不快感 | 暑さ寒さ、かゆみ、体調の変化に気を配る |
睡眠については、厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」で、小学生は9〜12時間、中学・高校生は8〜10時間を参考に睡眠時間を確保することが勧められています。
かんしゃくが極端に多い、激しい、年齢が上がっても続く、といった心配がある場合は、食べ物で何とかしようとせず、かかりつけの小児科医や地域の子育て相談窓口に相談してください。
砂糖の目安量はどれくらい?

行動への影響がはっきりしないとしても、砂糖のとりすぎには気をつけたいところです。
世界保健機関(WHO)は2015年のガイドラインで、大人も子供も「遊離糖類」を1日のエネルギー摂取量の10%未満にすることを強く推奨し、5%未満(大人でおよそ25g、小さじ6杯程度)に抑えるとさらに望ましいとしています。理由として挙げられているのは、体重増加や虫歯との関係です。
ここでいう遊離糖類には、次のようなものが含まれます。
- 料理やお菓子、飲み物に加えられる砂糖などの糖類
- はちみつ、シロップ、果汁、濃縮果汁に含まれる糖類
一方、生の果物や野菜に含まれる糖、牛乳に含まれる糖は対象外です。「はちみつなら砂糖ではないから大丈夫」ではなく、はちみつも同じように量を意識するのがポイントです。
家庭でできるおやつと食事の工夫は?

甘い飲み物を見直す
ジュースや清涼飲料水は、知らないうちに糖類が多くなりがちです。普段の飲み物は水やお茶、牛乳を基本にすると、全体の量を調整しやすくなります。
おやつは「補食」として考える
子供のおやつは、3食でとりきれない栄養やエネルギーを補う役割もあります。果物、ヨーグルト(無糖のものに果物を合わせるなど)、おにぎり、ふかしいもなど、食事に近いものも選択肢に入れてみましょう。小さなお子さんには、年齢に合った大きさ・かたさにして与えてください。
食品表示を見る習慣をつける
加工食品やお菓子を選ぶときは、原材料名や栄養成分表示を確認すると、甘いものの量を把握しやすくなります。「絶対に食べさせない」と禁止するより、量と頻度を家族で決めておくほうが続けやすいでしょう。
まとめ

- これまでの研究のまとめでは、砂糖が子供の行動を変えるという結果ははっきり出ていません
- かんしゃくは発達の途中でよく見られ、空腹・眠気・疲れなどがきっかけになりやすいといわれています
- 砂糖(はちみつや果汁を含む)は、虫歯や体重増加の観点から量の目安を意識しましょう
- 心配なときは、かかりつけの小児科医などに相談してください
食事は大切な生活の土台ですが、食べ物だけでかんしゃくをなくすことはできません。睡眠や毎日のリズム、子供の気持ちに寄り添う関わりと合わせて、無理のない範囲で整えていきましょう。
参考
- Wolraich ML, Wilson DB, White JW. The effect of sugar on behavior or cognition in children. A meta-analysis. JAMA. 1995;274(20):1617-21. https://doi.org/10.1001/jama.1995.03530200053037(PubMed: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7474248/)
- Hoover DW, Milich R. Effects of sugar ingestion expectancies on mother-child interactions. J Abnorm Child Psychol. 1994;22(4):501-15. https://doi.org/10.1007/BF02168088(PubMed: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7963081/)
- 世界保健機関(WHO)「WHO calls on countries to reduce sugars intake among adults and children」(2015年)https://www.who.int/news/item/04-03-2015-who-calls-on-countries-to-reduce-sugars-intake-among-adults-and-children
- 世界保健機関(WHO)「Guideline: sugars intake for adults and children」(2015年)https://www.who.int/publications/i/item/9789241549028
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」https://www.mhlw.go.jp/content/001305530.pdf
- American Academy of Pediatrics(HealthyChildren.org)「Top Tips for Surviving Tantrums」https://www.healthychildren.org/English/family-life/family-dynamics/communication-discipline/Pages/Temper-Tantrums.aspx





