【管理栄養士監修】生理痛のときにオススメの食材は?食事で意識したい栄養素

生理痛(月経痛)をやわらげる「特効薬」のような食材はありません。特定の食品やサプリメントで生理痛が軽くなるという質の高い根拠は、現時点では示されていないためです。
ただ、月経のある女性は鉄の推奨量が高めに設定されているなど、毎日の食事で意識したい栄養素はあります。この記事では、生理のある時期の食事のポイントと食材の例、婦人科を受診する目安を整理します。
生理痛はなぜ起こるの?
厚生労働省の資料では、月経期間中に起こる、日常生活に支障をきたすほど強い症状を「月経困難症」と呼んでいます。
| 種類 | 主な原因 |
|---|---|
| 機能性月経困難症 | 子宮の過収縮 |
| 器質性月経困難症 | 子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症などの病気 |
器質性のものは検査をしないと見つからないため、「体質だから」と自己判断しないことが大切だとされています。
食べもので生理痛は軽くなる?
医療情報の評価で知られるコクランの系統的レビュー(2016年)は、生理痛に対する栄養補助食品を調べた27件の臨床試験(女性3,101人)をまとめています。
生姜や魚油などで効果を示唆する結果も一部ありましたが、いずれも質が低い、またはごく限られたエビデンスでした。結論は「効果を裏づける質の高いエビデンスはない」というものです。
つまり、「この食材を食べれば痛みが和らぐ」とは言えないのが現状です。食事は治療の代わりではなく、体調を整える土台として考えましょう。
生理のある時期に意識したい栄養素は?
以下は、各栄養素の一般的な働きと、含まれる食材の例です。生理痛への効果を示すものではありません。
| 栄養素 | 一般的な働き | 食材の例 |
|---|---|---|
| 鉄 | ヘモグロビンとなり酸素の運搬に関わる | 肉・魚介類、海藻、大豆製品 |
| マグネシウム | 多くの酵素の働きを助け、エネルギー産生などに関わる | 海藻、大豆製品、ナッツ・種実 |
| ビタミンB6 | アミノ酸の代謝を助ける | カツオ、サバ、サケ、玄米 |
| n-3系脂肪酸 | 体内で十分につくれず、食事からとる必要がある脂肪酸 | サバ、イワシ、サケなどの魚 |
鉄はどれくらい必要?

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、月経のある女性の鉄の推奨量は1日10.0mg(18〜29歳)、10.5mg(30〜49歳)です。月経のない場合(18〜29歳で6.0mg)より高く設定されています。
鉄には、肉や魚に多い「ヘム鉄」と、植物性食品に多い「非ヘム鉄」があります。ビタミンCやたんぱく質と一緒にとると吸収がよくなることが知られているため、主菜に野菜や果物を組み合わせるのがおすすめです。
ほうれん草の鉄は100gあたり約2.0mg(生)です。鉄の吸収を抑えるシュウ酸も含むため、ほうれん草だけに頼らず、肉・魚・大豆製品・海藻などいろいろな食品からとりましょう。
マグネシウムを含む食材は?

成人女性のマグネシウムの推奨量は1日280mg(18〜29歳)、290mg(30〜49歳)です。
ナッツや種実類にも多く含まれます(100gあたり、日本食品標準成分表より)。
- アーモンド(乾):290mg
- カシューナッツ(フライ・味付け):240mg
- かぼちゃの種(いり・味付け):530mg
ナッツは脂質が多くエネルギーも高めなので、間食にするなら少量にとどめ、できれば食塩無添加のものを選ぶと食塩のとりすぎも防げます。
ビタミンB6とn-3系脂肪酸は?

ビタミンB6の推奨量は成人女性で1日1.2mgです。カツオ(100gあたり0.76mg)、サバ(0.65mg)、サケ(0.64mg)などの魚に多く、玄米ごはん(0.21mg)は白米ごはん(0.02mg)より多く含みます。

n-3系脂肪酸(EPA・DHAなど)は、主にサバやイワシ、サケなどの魚から、α-リノレン酸は植物油からとれます。食事摂取基準でも目安量が定められています。
生理中の食事、どんな工夫ができる?
体調がすぐれない日こそ、無理のない範囲で次のことを意識してみましょう。
- 主食・主菜・副菜をそろえる:特定の食品より、全体のバランスを大切に
- 食事を抜かない:食欲がないときは、温かいスープなど食べやすいものを少しずつ
- 間食を上手に使う:果物やヨーグルト、ナッツなどで栄養を補う


生姜やターメリックなどのスパイスは、料理の風味づけとして楽しむのがおすすめです。前述のレビューでも、生姜の生理痛へのエビデンスはごく限られたものでした。
婦人科を受診する目安は?
厚生労働省の資料では、専門医を受診する目安として次の場合を挙げています。
- 鎮痛剤が効かない
- 年々痛みがひどくなる
- 日常生活に影響が出ている
寝込んでしまう、学校や仕事に行けないといった痛みは、我慢するものではありません。早めに婦人科に相談してください。
まとめ

- 特定の食材やサプリメントで生理痛が軽くなるという質の高い根拠は、現時点ではありません
- 月経のある女性は鉄の推奨量が高めです。肉・魚・大豆製品・海藻などから、ビタミンCと組み合わせてとりましょう
- マグネシウム、ビタミンB6、n-3系脂肪酸なども、いろいろな食品をバランスよく食べることでとれます
- 痛みが強い、年々ひどくなるときは、食事で何とかしようとせず婦人科へ
食事は毎日の体調を支える土台です。つらいときは専門家の力も借りながら、自分の体と上手につきあっていきましょう。
参考
- 厚生労働省「女性特有の健康課題に関する問診に係る健診機関実施マニュアル~健診機関向け~」 https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001634471.pdf
- Pattanittum P, et al. Dietary supplements for dysmenorrhoea. Cochrane Database of Systematic Reviews 2016, CD002124. https://www.cochrane.org/evidence/CD002124
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
- 健康長寿ネット「ミネラル成分の鉄分の働きと1日の摂取量」 https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/mineral-tetsu.html
- 健康長寿ネット「マグネシウムの働きと1日の摂取量」 https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/mineral-mg.html
- 健康長寿ネット「ビタミンB6/B12の働きと1日の摂取量」 https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-b6.html
- 文部科学省「食品成分データベース」(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年) https://fooddb.mext.go.jp/





