ナッツが健康に良いと言われるのはなぜ?管理栄養士が解説

ナッツが「健康に良い」と言われるのは、脂質の多くが不飽和脂肪酸で、少ない量でたんぱく質・食物繊維・ビタミンE・マグネシウムなどをまとめてとれる食品であることに加え、海外の大規模な観察研究で「ナッツをよく食べる人ほど心血管疾患などのリスクが低い傾向」が報告されているためです。
ただし、ナッツは薬ではなく、カロリーも高めの食品です。この記事では、栄養成分、研究結果の読み方、食べるときの注意点を、公的なデータをもとに整理します。
ナッツとはどんな食品?

ナッツは、アーモンド、くるみ、カシューナッツ、マカダミアナッツ、ピスタチオ、ヘーゼルナッツなど、木の実を食用にしたものの総称です。文部科学省の「日本食品標準成分表」では「種実類」に分類されています。
ナッツにはどんな栄養素が含まれている?

代表的なアーモンドとくるみを、ひとつかみ程度の30gに換算すると次のとおりです。
| 30g当たり | アーモンド(乾) | くるみ(いり) |
|---|---|---|
| エネルギー | 約183kcal | 約214kcal |
| たんぱく質 | 約5.9g | 約4.4g |
| 脂質 | 約15.5g | 約20.6g |
| 食物繊維総量 | 約3.0g | 約2.3g |
| ビタミンE(α-トコフェロール) | 約9.0mg | 約0.4mg |
※日本食品標準成分表(八訂)増補2023年の100g当たりの値から計算
表からわかるように、アーモンドもくるみも重さの半分以上が脂質で、食物繊維も比較的多い食品です。アーモンドはビタミンEを多く含み、100g当たりのマグネシウムは290mgあります。
なお、ナッツの種類によって成分は大きく異なります。いろいろな種類を少しずつ組み合わせると、偏りが少なくなります。具体的な含有量は、文部科学省「食品成分データベース」で食品名を検索すると確認できます。
| 栄養素 | ナッツでの特徴 | 身体での一般的な役割 |
|---|---|---|
| 脂質(不飽和脂肪酸) | アーモンドやマカダミアナッツはオレイン酸などの一価不飽和脂肪酸、くるみはリノール酸(n-6系)やα-リノレン酸(n-3系)を多く含む | エネルギー源、細胞膜の材料。n-3系・n-6系脂肪酸は体内でつくれない必須脂肪酸 |
| ビタミンE | アーモンドに特に多い | 抗酸化作用をもつ脂溶性ビタミン |
| 食物繊維 | ナッツ類全般に含まれる | 食事摂取基準で目標量が示されている栄養素 |
| たんぱく質 | 植物性のたんぱく質を含む | 筋肉や臓器など、身体をつくる材料 |
| ミネラル | マグネシウムのほか、種類により亜鉛や鉄なども含む | 骨や歯の形成、多くの酵素の働きに関わる |
脂質が多いのに「良い脂」と言われるのはなぜ?

ナッツは重さのおよそ半分、またはそれ以上が脂質という、脂質の多い食品です。ただ、その中身は肉の脂身やバターに多い飽和脂肪酸ではなく、不飽和脂肪酸が中心です。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、飽和脂肪酸のとりすぎに注意するよう目標量が示され、n-3系・n-6系脂肪酸については目安量が示されています。脂質は「量」だけでなく「どんな種類をとるか」も大切です。
たんぱく質とミネラルは?
ナッツには植物性のたんぱく質も含まれますが、ナッツだけで1日に必要なたんぱく質をまかなうのは現実的ではありません。肉・魚・卵・大豆製品・乳製品などと組み合わせて、毎食少しずつとるのが基本です。
また、ナッツにはマグネシウムが比較的多く、種類によっては亜鉛や鉄なども含まれます。マグネシウムは骨や歯の形成や、体内の多くの酵素の働きに関わるミネラルです。
研究ではどんなことがわかっている?

2016年に発表された、前向き研究をまとめたメタアナリシス(Aune ら、BMC Medicine)では、ナッツの摂取量が1日28g多いごとに、冠動脈疾患や心血管疾患、全死亡のリスクが低い傾向が報告されています。
研究結果はどう読めばいい?

これらは主に「観察研究」で、ナッツを食べる人と食べない人を比べたものです。ナッツをよく食べる人は、ほかの食習慣や生活習慣も異なる可能性があり、「ナッツを食べれば病気を防げる」と言い切れるものではありません。
ナッツは、毎日の食事を整えるための食材のひとつとして考えるのがよいでしょう。
ナッツを食べるときの注意点は?
カロリーと量

アーモンド30gで約183kcalと、少量でもエネルギーは高めです。食べすぎるとエネルギーのとりすぎにつながるため、ほかの間食と置き換える、小皿に取り分けるなど、量を決めて食べるのがおすすめです。
食塩・砂糖の有無
市販のナッツには、食塩や砂糖、油を加えて味付けしたものもあります。「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、成人の食塩相当量の目標量は男性7.5g未満、女性6.5g未満とされています。日常的に食べるなら、原材料表示を確認し、食塩や砂糖を加えていない素焼きのものを選ぶと調整しやすくなります。
食物アレルギー
消費者庁によると、くるみは2023年に、カシューナッツは2026年4月に、食品表示で表示が義務づけられる「特定原材料」に追加されました。アーモンドやマカダミアナッツは表示が推奨される「特定原材料に準ずるもの」です。アレルギーのある方は、購入時に必ず原材料表示を確認してください。
小さな子どもには与えない
消費者庁は、アーモンドなど硬くかみ砕く必要のあるナッツ類を5歳以下の子どもに食べさせないよう呼びかけています。窒息や誤嚥のおそれがあるためです。
持病のある方

食品は病気の治療や予防を目的とするものではありません。持病があり食事療法を受けている方は、ナッツの量や取り入れ方について、主治医や管理栄養士に相談してください。

ナッツを手軽に取り入れるには?
ヨーグルトやサラダにひとつかみ加える、刻んで和え物に使う、といった方法が手軽です。素焼き(無塩)のものを選ぶと、食塩や油の量を抑えやすくなります。
グラノーラでナッツをとるという選び方

ナッツをそのまま食べるのが続かない方は、朝食のグラノーラに入っているものを選ぶのもひとつの方法です。
2960グラノーラ「禄 roku」には、有機アーモンド・有機くるみ・有機マカダミアナッツ・有機カシューナッツの4種類のナッツが入っています。ほかにも有機オートミール、京都産有機玄米、有機かぼちゃの種、有機クランベリー、有機クコの実などを組み合わせ、甘みは主に蜂蜜でつけています。
1食分(約30g)あたりのエネルギーは132.5kcal、たんぱく質2.9g、脂質7.6g、炭水化物14.3g、食塩相当量0.0gです。くるみとカシューナッツを含みますので、アレルギーのある方はご注意ください。
まとめ

- ナッツは、不飽和脂肪酸・たんぱく質・食物繊維・ビタミンE・マグネシウムなどを少量でとれる食品です。
- 海外の観察研究では、ナッツをよく食べる人ほど心血管疾患などのリスクが低い傾向が報告されていますが、ナッツが病気を防ぐと断定できるものではありません。
- カロリーが高めなので量を決めて食べ、食塩や砂糖の有無、アレルギー表示も確認しましょう。
- 5歳以下の子どもには、硬いナッツを与えないでください。
いろいろな食品と組み合わせながら、毎日の食事にナッツを上手に取り入れてみてください。
参考
- 文部科学省「食品成分データベース(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年)」アーモンド(乾):https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=5_05001_7
- 文部科学省「食品成分データベース」くるみ(いり):https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=5_05014_7
- Aune D, et al. Nut consumption and risk of cardiovascular disease, total cancer, all-cause and cause-specific mortality: a systematic review and dose-response meta-analysis of prospective studies. BMC Medicine. 2016;14:207. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27916000/
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
- 消費者庁「食物アレルギー表示に関する情報」:https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/
- 消費者庁「子ども安全メール Vol.617 節分は窒息・誤嚥に注意! 硬い豆やナッツ類は5歳以下の子どもには食べさせないで!」:https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/child/project_001/mail/20230124/





