クコの実の健康効果は?栄養成分と研究データから分かることを解説

クコの実(ゴジベリー)は、ナス科の植物クコの果実を乾燥させた食品で、β-クリプトキサンチンやβ-カロテン、ゼアキサンチンなどのカロテノイド、カリウム、鉄などを含みます。
果実の成分についてはさまざまな研究が行われていますが、ヒトで病気の予防や改善に役立つと確かめられたわけではありません。毎日の食事に彩りと栄養をプラスする食材として、適量を楽しむのがおすすめです。
この記事では、クコの実の栄養成分を公的なデータで確認しながら、研究で分かっていること・まだ分かっていないこと、歴史、食べ方と注意点をご紹介します。
クコの実とは?

クコの実は、ナス科クコ属の植物(主に Lycium barbarum と L. chinense)の果実です。英語圏では「ゴジ(Goji)」と呼ばれ、日本では主に乾燥品として売られています。
鮮やかなオレンジ色や赤色をしていて、ほんのりした甘みと酸味があります。杏仁豆腐やお粥のトッピングでおなじみのほか、スープやお茶、デザートなど幅広く使われています。
クコの実にはどんな栄養素が含まれている?

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」の「くこ 実 乾」の数値(可食部100gあたり)から、主なものを抜き出しました。
| 成分 | 100gあたり |
|---|---|
| エネルギー | 387kcal |
| たんぱく質 | 12.3g |
| 脂質 | 4.1g |
| 炭水化物 | 75.3g |
| カリウム | 1,400mg |
| マグネシウム | 77mg |
| カルシウム | 47mg |
| 鉄 | 4.0mg |
| β-カロテン | 800μg |
| β-クリプトキサンチン | 4,400μg |
| β-カロテン当量 | 3,000μg |
| ビタミンA(レチノール活性当量) | 250μg |
| ビタミンE(α-トコフェロール) | 5.7mg |
| 葉酸 | 99μg |
| ビタミンC | 9mg |
| 食塩相当量 | 1.3g |
数値を見るときのポイント
- 100gあたりの値です。 トッピングなどで実際に食べる量は数g〜10g程度なので、10gならエネルギーは約39kcal、鉄は約0.4mgが目安です。
- 乾燥果実なので、少量でもエネルギーは高めです。
- ビタミンCは多くありません。 乾燥品の値は100gあたり9mgです。
- 食物繊維は日本の成分表では未測定(「-」表記)です。ノルウェー食品安全局の食品成分表では、乾燥品100gあたり約11gとされています。成分値は品種や産地、乾燥のしかたによって変わります。
- 成分表では食塩相当量が1.3gとなっています。実際の成分は商品によって異なるので、購入した商品の栄養成分表示もあわせて確認してくださいね。
オレンジ色のもとはカロテノイド

クコの実の鮮やかな色は、カロテノイドという色素によるものです。β-クリプトキサンチンやβ-カロテンは、体内で必要に応じてビタミンAに変わるカロテノイドの仲間です。
また研究では、果実に含まれるカロテノイドの中で最も多いのはゼアキサンチンで、主に「ゼアキサンチンジパルミテート」という脂肪酸と結合した形で含まれると報告されています。ゼアキサンチンは、ルテインとともに目の網膜に存在することが知られているカロテノイドです。ただし、クコの実を食べることで体にどのような影響があるかは、人を対象とした研究で確かめられているわけではありません。
クコの実の「健康効果」は研究でどこまで分かっている?

クコの実は「スーパーフード」として紹介されることが多い食材です。
ただ、クコに関する研究をまとめたレビュー論文(Potterat, 2010)では、果実の研究は主に「クコ多糖」と呼ばれる成分の抗酸化性などを調べたもので、報告されている働きの多くは試験管や動物を使った研究の段階だと整理されています。そのうえで、クコの製品の利用を勧めるには、ヒトでの臨床的な根拠と厳密な品質管理が欠かせないと結論づけられています。
つまり現時点では、クコの実を食べることで特定の病気を予防したり、症状が良くなったりするとはいえません。
食品は治療の代わりにはなりません。気になる症状がある方は、自己判断で食べ物に頼らず、医師に相談してください。
クコの実はどのように使われてきた?
中国で長く親しまれてきた食材

先ほどの総説では、クコは東アジア、とくに中国で、食用と伝統医学の両方で長く使われてきた植物と紹介されています。家庭料理や薬膳の食材として、今も身近な存在です。
世界に広まったのは2000年代以降

同じ総説によると、「ゴジ」という名前は比較的新しいもので、欧米で健康食品として広く売られるようになったのは2000年代に入ってからです。その人気は広告やメディアによるところも大きかったと指摘されています。
「クレオパトラが愛した」は本当?

クコの実の紹介でよく見かける「クレオパトラも愛した」というフレーズ。ですが、古代エジプトでクレオパトラがクコの実を食べていたことを示す確かな記録は、私たちが調べた範囲では見つかりませんでした。
クコの実が長く利用されてきたのは、主に中国を中心とする東アジアです。華やかな逸話は、あくまで「お話」として受け止めておきましょう。
クコの実はどれくらい・どうやって食べる?

クコの実に、公的に決められた1日の目安量はありません。ドライフルーツなのでエネルギーや糖質は高めです。たくさん食べるより、ひとつまみを彩りとして添えるくらいがちょうどよい量です。
手軽な食べ方の例です。
- そのまま、少量をおやつに
- ヨーグルトやシリアル、グラノーラ、オートミールにトッピング
- サラダに散らす、スムージーに加える
- お粥やスープ、炊き込みご飯、杏仁豆腐の彩りに
開封後は湿気を避けて密閉し、早めに食べきると風味よく楽しめます。
2960グラノーラにもクコの実が入っています

2960グラノーラの「禄(roku)」と「福(fuku)」には、原材料のひとつとして有機クコの実を使っています。
原材料は、有機オートミール、有機アーモンド、有機くるみ、有機マカダミアナッツ、有機カシューナッツ、ヨーロッパ産蜂蜜、有機ココナッツオイル、京都産有機玄米、有機かぼちゃの種、有機クランベリー、有機クコの実、酸化防止剤(ローズマリー抽出物、VE)です。甘みは主に蜂蜜によるもので、玄米ポンには北海道産てんさい糖を使っています。
1食約30gあたりのエネルギーは132.5kcalです。ザクザクの食感の中に、ときどき出会うクコの実の甘酸っぱさも楽しんでいただけたらうれしいです。
クコの実を食べるときの注意点は?

薬を飲んでいる方は医師・薬剤師に相談を
血液を固まりにくくする薬「ワルファリン」を服用中の女性が、濃く煮出したクコの実のお茶を数日間飲んだあと、薬の効き具合を示す検査値(INR)が上がったという症例が報告されています(Lam ほか, 2001)。また、ワルファリンを飲んでいた方がクコの実のお酒を飲んだあとに出血し、INRが上がったという症例も報告されています(Zhang ほか, 2015)。
先ほどのレビュー論文でも、ワルファリンとの相互作用が疑われる例があったとして、薬との飲み合わせに注意が必要だと指摘されています。
ワルファリンをはじめ持病の治療で薬を飲んでいる方、食事の管理をしている方、妊娠中・授乳中の方は、クコの実やクコを使った食品を日常的にとる前に、主治医や薬剤師に相談してください。
体に合わないと感じたら食べるのをやめる
クコの実はナス科の植物の果実です。食べて体に合わないと感じたときは中止し、症状が続く場合は医療機関を受診しましょう。食物アレルギーがある方は、原材料表示を確認してから召し上がってください。

「健康食品」の情報との付き合い方
厚生労働省は、いわゆる「健康食品」について、バランスのとれた食生活を基本に、自分の食生活の状況に合わせて適切に選ぶよう呼びかけています。体調に不安がある方は、とってよいかを事前に医療機関に相談することもすすめられています。
「これを食べれば健康になる」という情報をうのみにせず、いろいろな食品を組み合わせた食事の中で、少しずつ楽しむことが大切です。
まとめ

- クコの実はナス科クコの果実で、β-クリプトキサンチン、β-カロテン、ゼアキサンチン、カリウム、鉄などを含みます
- 乾燥品は100gあたり387kcalとエネルギーが高めなので、トッピング程度の量がおすすめです
- 果実の成分の研究は進められていますが、ヒトで病気の予防や改善に役立つとは確かめられていません
- 中国を中心に東アジアで長く親しまれてきた食材で、「クレオパトラが愛した」という話には確かな裏づけが見つかっていません
- ワルファリンなど薬を服用中の方は、医師・薬剤師に相談してから取り入れましょう
鮮やかな色とやさしい甘酸っぱさは、いつもの朝ごはんを楽しくしてくれます。食べる量に気をつけながら、クコの実を食生活に取り入れてみてくださいね。
参考
- 文部科学省「食品成分データベース」日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 くこ 実 乾(食品番号07185):https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=7_07185_7
- Potterat O. Goji (Lycium barbarum and L. chinense): Phytochemistry, pharmacology and safety in the perspective of traditional uses and recent popularity. Planta Medica. 2010;76(1):7-19.(PubMed):https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19844860/ doi:10.1055/s-0029-1186218
- Peng Y, et al. Quantification of zeaxanthin dipalmitate and total carotenoids in Lycium fruits (Fructus Lycii). Plant Foods for Human Nutrition. 2005;60(4):161-164. https://doi.org/10.1007/s11130-005-9550-5
- Kan X, et al. Ultrasonic-assisted extraction and high-speed counter-current chromatography purification of zeaxanthin dipalmitate from the fruits of Lycium barbarum L. Food Chemistry. 2020;310:125854. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31784067/
- Lam AY, Elmer GW, Mohutsky MA. Possible interaction between warfarin and Lycium barbarum L. Annals of Pharmacotherapy. 2001;35(10):1199-1201.(PubMed):https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11675844/ doi:10.1345/aph.1Z442
- Zhang J, Tian L, Xie B. Bleeding due to a probable interaction between warfarin and Gouqizi (Lycium barbarum L.). Toxicology Reports. 2015;2:1209-1212. https://doi.org/10.1016/j.toxrep.2015.08.011
- ノルウェー食品安全局 Matvaretabellen「Goji berries, dried」:https://www.matvaretabellen.no/en/goji-berries-dried/
- オレゴン州立大学 ライナス・ポーリング研究所「カロテノイド」:https://lpi.oregonstate.edu/jp/mic/dietary-factors/phytochemicals/carotenoids
- 厚生労働省「いわゆる『健康食品』のホームページ」:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/hokenkinou/index.html





