今さら聞けない「グルテンフリー」って何?メリットデメリットを説明

グルテンフリーとは、小麦・大麦・ライ麦に含まれるたんぱく質「グルテン」を食事から除くことです。
セリアック病の人にとっては医療として欠かせない食事法ですが、そうでない人には健康上の利点が十分に確かめられておらず、栄養が偏りやすいという注意点もあります。
この記事では、グルテンフリーが必要な人、気をつけたいポイント、始める前に知っておきたいことを順に説明します。
グルテンとは?グルテンフリーの食事とは?

グルテンは、小麦・大麦・ライ麦などに含まれるたんぱく質の一種です。パンやパスタ、ケーキ、うどんなど、身近な食べ物の多くに含まれています。
グルテンフリーの食事は、こうした食品を避け、米・いも類・豆類・とうもろこしなど、グルテンを含まない食材を中心に組み立てる食事法です。
グルテンフリーが必要なのはどんな人?
セリアック病の人
セリアック病は、グルテンに対して免疫が反応し、小腸が傷ついてしまう病気です。米国消化器病学会(ACG)の診療ガイドラインでは、現在の治療は「厳格なグルテンフリーの食事を続けることと、生涯にわたる医療機関での経過観察」とされています。
診断は、血液検査(抗体検査)と、多くの場合は小腸の検査(生検)によって行われます。自己判断でグルテンを抜くと正しい診断がしにくくなることがあるため、気になる症状がある場合は、食事を変える前に医師に相談しましょう。
非セリアック・グルテン過敏症が疑われる人

セリアック病でも小麦アレルギーでもないのに、グルテンを含む食品をとると、おなかや体に不調を感じる人がいます。こうした状態は「非セリアック・グルテン過敏症」と呼ばれています。
ただし、はっきりと判定できる検査の指標はまだなく、専門家グループは医師のもとで段階的に確認する診断手順を提案しています。自分で「過敏症かも」と決めつけず、専門医に相談することが大切です。
小麦アレルギーの人

小麦アレルギーは、セリアック病とは別の病気です。日本では、容器包装された加工食品について、小麦などの特定原材料を含む場合のアレルギー表示が義務付けられています。食品を選ぶときは、パッケージの表示を確認しましょう。
| 主な対応 | 相談先 | |
|---|---|---|
| セリアック病 | 厳格なグルテンフリーと医療機関での経過観察 | 消化器内科など |
| 非セリアック・グルテン過敏症(疑い) | 医師のもとで診断手順を確認 | 消化器内科など |
| 小麦アレルギー | 医師の指示にもとづく除去と表示の確認 | アレルギー科など |
病気のない人がグルテンフリーにするメリットは?

「なんとなく体に良さそう」というイメージで広まったグルテンフリーですが、セリアック病などではない人にとって、グルテンを避けること自体の利点ははっきりしていません。
米国の大規模な追跡調査では、セリアック病ではない成人で、グルテンの摂取量と心臓病のリスクに関連は見られませんでした。研究者は、グルテンを避けることで全粒穀物が減る可能性を指摘し、セリアック病ではない人にグルテンフリーをすすめるべきではないとしています。
グルテンフリーのデメリットと注意点は?

栄養が偏りやすい
グルテンフリーの食事に関する研究をまとめたレビューでは、次のような傾向が報告されています。
- 食物繊維が不足しやすい(穀物を避けるうえ、代わりの製品はでんぷんや精製した粉で作られていることが多いため)
- ビタミンD、ビタミンB12、葉酸、鉄、亜鉛、マグネシウム、カルシウムなどが不足しやすい
- 脂質(飽和脂肪酸など)が多くなりやすく、食事のGI値が高くなりやすい
「グルテンを含まないこと」だけで食品を選ぶと、栄養のバランスが崩れやすいということです。
原材料表示と栄養成分表示を確認する
グルテンフリー向けの加工食品も、製品によって原材料や糖質・脂質の量はさまざまです。「グルテンフリー」という言葉だけで判断せず、原材料名と栄養成分表示を見比べて選びましょう。
いろいろな食材を組み合わせる
米や雑穀、豆類、野菜、果物、魚、卵、大豆製品などを組み合わせると、栄養の偏りを防ぎやすくなります。食品ごとの栄養素の量は、文部科学省の「食品成分データベース」で調べることができます。
オーツ麦(オートミール)について
オーツ麦はもともと小麦・大麦・ライ麦とは別の穀物ですが、栽培や加工の過程で小麦などが混ざることがあります。グルテンフリー食品への混入を調べた研究をまとめた分析でも、オーツ麦は混入が最も多い食品だったと報告されています。セリアック病の方は、オーツ麦を取り入れてよいかどうかを医師と相談し、混入のない製品であることを確認しましょう。
まとめ

- グルテンフリーは、小麦・大麦・ライ麦に含まれるグルテンを避ける食事法です。
- セリアック病の人には欠かせない食事法で、医療機関での経過観察とセットで続けます。
- 病気のない人にとっての利点ははっきりしておらず、食物繊維やビタミン・ミネラルが不足しやすい点に注意が必要です。
- 自己判断で食事を変えることは、医療機関での診断や治療の代わりにはなりません。体調が気になるときや、グルテンフリーを始めたいときは、医師や管理栄養士に相談しましょう。
毎日の食事は、無理なく、楽しく、バランスよく。この記事が、グルテンフリーについて考えるきっかけになればうれしいです。
参考
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- Catassi C, et al. Diagnosis of Non-Celiac Gluten Sensitivity (NCGS): The Salerno Experts’ Criteria. Nutrients. 2015;7(6):4966-77. https://doi.org/10.3390/nu7064966
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- Vici G, et al. Gluten free diet and nutrient deficiencies: A review. Clin Nutr. 2016;35(6):1236-41. https://doi.org/10.1016/j.clnu.2016.05.002
- Guennouni M, et al. Gluten contamination in labelled gluten-free, naturally gluten-free and meals in food services in low-, middle- and high-income countries: a systematic review and meta-analysis. Br J Nutr. 2022;127(10):1528-42. https://doi.org/10.1017/S0007114521002488
- 消費者庁「食物アレルギー表示に関する情報」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/
- 消費者庁「アレルギー表示について」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/assets/food_labeling_cms204_260401_01.pdf
- 文部科学省「食品成分データベース」 https://fooddb.mext.go.jp/





