歴史の偉人のベジタリアン ~菜食主義の背景を探る~

歴史の偉人のベジタリアン ~菜食主義の背景を探る~

歴史上の偉人には、肉を食べない「菜食」を選んだ人が少なくありません。その理由は、動物への思いやりや宗教・哲学の教え、節約や暮らしの工夫などさまざまでした。

この記事では、ベジタリアンとして知られる6人の偉人を取り上げ、菜食を選んだ背景と、記録からどこまで分かっているのかを紹介します。

「ベジタリアン」という言葉はいつからあるの?

「ベジタリアン(vegetarian)」という言葉が広く使われるようになったのは19世紀のことです。イギリスのベジタリアン協会(The Vegetarian Society)は1847年に設立されました。協会によると、この言葉が使われた最初の記録は1842年の雑誌だそうです。

それ以前の英語圏では、肉を食べない人は「ピタゴラス派(Pythagoreans)」と呼ばれることがありました。この呼び名は、後で紹介するピタゴラスに由来します。

菜食を選んだ偉人6人を一覧で見ると?

人物時代・分野菜食の背景(伝えられている理由)
ピタゴラス古代ギリシャの数学者・哲学者魂の生まれ変わりの思想と結び付けて語られる
レオナルド・ダ・ヴィンチルネサンス期の芸術家・科学者動物を傷つけることへの強い抵抗感
ベンジャミン・フランクリンアメリカ建国の父の一人若い頃、本の影響と節約のために一時期実践
レフ・トルストイロシアの文豪命を奪うことへの道徳的な疑問
マハトマ・ガンジーインド独立運動の指導者母との誓い、のちに自らの信念として選択
アルベルト・アインシュタイン20世紀の物理学者考えに共感しつつ、実践したのは晩年

なお「ベジタリアン(vegetarian)」という言葉が記録に現れるのは1842年ごろ、英国でベジタリアン協会が設立されたのは1847年とされています。それより前の人物は、今の意味でのベジタリアンと完全に同じとは限らない点も心に留めておきたいところです。

古代〜ルネサンスの偉人はなぜ肉を避けたの?

ピタゴラス

「ピタゴラスの定理」で知られる古代ギリシャの哲学者です。ピタゴラスは魂が不死であり、ほかの生き物に生まれ変わると説いたと伝えられ、この思想が肉食を避ける教えと結び付けて語られてきました。

ただし、ピタゴラス本人は著作を残しておらず、古い記録の内容も食い違っています。肉を一切口にしなかったという説がある一方で、特定の動物だけを避けていたとする記録もあり、どこまで厳格だったかははっきりしていません。

レオナルド・ダ・ヴィンチ

COURRIER JAPON https://courrier.jp/news/archives/136530/ より引用

芸術家であり科学者、発明家でもあったダ・ヴィンチは、動物を深く愛した人物として知られています。市場で売られている鳥を買い取っては空に放していた、という逸話も残っています。

彼がベジタリアンだったという見方は、手記の言葉や、同時代の人物が手紙の中で「わたしたちのレオナルドのように」生き物を傷つけない人々について書いた一節がもとになっています。ただし、これは手がかりから推測されたもので、本人が明言した記録ではありません。

近代の偉人はどんな理由で菜食を選んだの?

ベンジャミン・フランクリン

GIGAZINE https://gigazine.net/news/20201101-benjamin-franklin-finance-money/ より引用

フランクリンは自伝の中で、16歳ごろに菜食をすすめる本を読み、植物中心の食事を始めたと書いています。食費が半分ほどに浮き、そのお金で本を買えたことも記しています。

また、食事を控えめにすると頭がすっきりして理解が早くなった、とも振り返っています。一方で、船旅の途中で焼いた魚のよい香りに負けて、再び魚を食べるようになったという、人間味のあるエピソードも残しています。

レフ・トルストイ

『戦争と平和』で知られるトルストイは、1880年代から菜食に関心を持ち、1890年ごろから肉を食べない生活を送ったとされています。

1890年代に発表したエッセイ「第一の段階(The First Step)」では、肉を食べることは命を奪う行為を伴うため道徳的に受け入れがたい、という考えを示しました。

マハトマ・ガンジー

gandi

VOI https://voi.id/ja/memory/29658 より引用

ガンジーはインドで育ち、英国へ留学する際に「肉を口にしない」と母に誓いました。ロンドンでは周囲から何度も肉食をすすめられましたが、誓いを守り続けたと自伝に書いています。

その後、菜食を論じた本に出会ったことで、母との約束としてだけでなく、自らの意思で菜食を選ぶようになりました。ロンドンではベジタリアン協会に入り、執行委員も務めています。自伝では、菜食を広めることがその後の自分の使命になったとも述べています。非暴力を重んじたガンジーにとって、食事もまた生き方そのものだったといえそうです。

アインシュタインは本当にベジタリアンだったの?

Gigazine https://gigazine.net/news/20220519-einstein-likeness-commercialise-hebrew-university/ より引用

アインシュタインは1930年の手紙で、菜食の考えには以前から共感していたものの、事情があって厳密には実践できていないと書いています。

実際に肉や魚を口にしない生活を送ったのは晩年で、1954年の手紙では「脂肪も肉も魚もとらずに暮らしているが、とても調子がよい」という趣旨の言葉を残しています。インターネット上には彼の名言とされる菜食の言葉が多く出回っていますが、出典がはっきりしないものもあるため注意が必要です。

日本にも肉食を避けた時代があったの?

日本にも、仏教の影響で肉食を控えてきた長い歴史があります。675年、天武天皇は牛・馬・犬・猿・鶏などを食べることを禁じました。その後も獣の肉を公には避ける風潮が長く続き、お寺では野菜や豆を使った精進料理が育ちました。この流れが大きく変わったのは明治時代のことで、1872年に肉食が解禁されています。

なお、「江戸時代に国じゅうがベジタリアンだった」「その食生活のおかげで日本人の体力が高かったと実証されている」といった話は、裏づけが確認できないため、この記事では扱いません。

偉人たちの菜食から何を学べる?

6人の背景をふり返ると、菜食を選んだ理由は「動物への思いやり」「思想や信仰」「節約や暮らしの工夫」など、人によってさまざまでした。また、ずっと続けた人もいれば、一時期だけ、あるいは晩年になってから取り入れた人もいます。

筆者自身は、植物もまた生きている存在だと感じています。動物も植物も同じように尊い命として、「いただきます」の気持ちを忘れずに食卓に向かうこと。偉人たちの選択は、そんな当たり前のことをあらためて思い出させてくれました。

なお、菜食を取り入れる場合は、栄養が偏らないよう食事全体のバランスに気をつけましょう。持病のある方や妊娠中の方などは、食事を大きく変える前に医師や管理栄養士に相談してください。

ちなみに2960グラノーラは、有機オートミールやナッツ、ドライフルーツなどを中心にした原材料で、肉や魚は使っていませんが、蜂蜜を使用しています。菜食の基準は人それぞれなので、気になる方は商品ページの原材料表示をご確認ください。

まとめ

  • ピタゴラス、ダ・ヴィンチ、フランクリン、トルストイ、ガンジー、アインシュタインは、いずれも菜食との関わりが伝えられている偉人です。
  • 理由は、動物への思いやり、思想や信仰、節約などさまざまでした。
  • 古い時代の人物ほど記録が少なく、「どこまで厳格だったか」は分からない部分もあります。
  • 実践の仕方も、生涯を通じて続けた人、一時期だけの人、晩年に始めた人と多様でした。
  • 「ベジタリアン」という言葉は19世紀に広まり、それ以前は「ピタゴラス派」と呼ばれることもありました。
  • 日本にも、675年の天武天皇による禁令から1872年の解禁まで、肉食を避けてきた長い歴史があります。

偉人たちの生き方をヒントに、自分にとっての「いただく」ことの意味を、ゆっくり考えてみるのもよいかもしれません。

参考

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