やっぱり砂糖は人間をダメにするの?論文を用いて解説します。

砂糖そのものが「人間をダメにする」わけではありません。問題になるのは、砂糖や蜂蜜、果汁などの「遊離糖類」をとりすぎることです。研究ではとりすぎが体重増加や2型糖尿病などと関連すると報告されており、WHO(世界保健機関)は1日の総エネルギーの10%未満、できれば5%未満(約25g)に抑えることを勧めています。
この記事では、公的機関の指針と論文をもとに、わかっていること・まだわかっていないことを整理します。
そもそも「とりすぎ」が問題になる糖とは?

WHOが目安を示しているのは「遊離糖類(free sugars)」です。
- 食品や飲み物に、メーカーや家庭で加えられた砂糖・ブドウ糖・果糖など
- 蜂蜜、シロップ、果汁、濃縮果汁にもともと含まれる糖
一方、生の果物や野菜に含まれる糖、牛乳に自然に含まれる糖は、この目安の対象外とされています。「白い砂糖だけが問題」ではなく、蜂蜜やジュースも含めて考えるのがポイントです。
研究では何がわかっている?
体重増加・肥満との関係は?
ハーバード公衆衛生大学院の研究者らによる系統的レビュー(2006年)では、30本の研究を検討し、砂糖入り飲料を多く飲むことが子どもと大人の体重増加・肥満と関連していると結論づけています。飲み物の糖は満腹感につながりにくく、エネルギーをとりすぎやすいことが理由の一つと考えられています。
2型糖尿病との関係は?
同じ研究グループのメタ分析(2010年、約31万人)では、砂糖入り飲料を最も多く飲む群(主に1日1〜2杯)は、ほとんど飲まない群に比べて2型糖尿病の発症リスクが約26%高いと報告されました。ただし観察研究のまとめであり、砂糖だけが原因と断定するものではありません。
心臓・血管の健康との関係は?

アメリカ心臓協会(AHA)は2009年の声明で、糖類のとりすぎがいくつかの代謝異常や栄養素の不足と結びついていると指摘し、心血管の健康のために「添加糖」を減らすよう勧めています。
こころの健康との関係は?

英国の公務員を対象にした長期研究(Whitehall II、2017年)では、甘い食べ物・飲み物からの糖の摂取量が最も多い男性(上位3分の1)は、5年後に一般的な精神的不調を新たに発症するオッズ(起こりやすさの指標)が約23%高いという関連が見られました。一方、うつの再発については、食事の要因を考慮すると統計的に意味のある差ではありませんでした。
あくまで「関連」を示した研究で、砂糖を控えればこころの不調が治るというものではありません。気分の落ち込みが続くときは、ひとりで抱えず医療機関に相談してください。
1日にどのくらいまでが目安?

| 出典 | 目安 | 位置づけ |
|---|---|---|
| WHO(2015年) | 遊離糖類を総エネルギーの10%未満 | 強い推奨 |
| WHO(2015年) | さらに5%未満(約25g=小さじ約6杯) | 条件付き推奨 |
| AHA(2009年) | 添加糖を女性100kcal以下、男性150kcal以下 | 米国の成人向け |
たとえば1日2,000kcalの人なら、10%は200kcal、砂糖にすると約50gです。砂糖入りの飲み物は量を意識しにくいため、まずは飲み物から見直すのがおすすめです。
砂糖の代わりに甘味料を使えばいい?
以前は「低カロリー甘味料に置き換えれば安心」と考えられがちでした。しかしWHOは2023年のガイドラインで、体重管理や生活習慣病のリスクを下げる目的で、ステビアやスクラロースなどの「非糖質系甘味料」を使わないよう勧めています(条件付き推奨。糖尿病のある方は対象外)。
置き換えるよりも、甘さそのものに少しずつ慣れていく方が現実的です。糖尿病などで治療中の方は、主治医や管理栄養士に相談してください。
無理なく減らすための工夫
- 甘い飲み物を、水やお茶、無糖のコーヒーに置き換える日をつくる
- 食品の原材料表示・栄養成分表示で、砂糖や蜂蜜、シロップの量を確認する
- 果物はジュースより、丸ごと食べる
- お菓子や甘いものは「量を決めて」味わう
- 甘い朝食やおやつは、1回に食べる量を決めておく
まとめ

- 砂糖は「悪」ではなく、蜂蜜や果汁も含めた遊離糖類の「とりすぎ」が問題
- 研究では、とりすぎと体重増加・2型糖尿病・こころの不調との関連が報告されている(多くは観察研究)
- 目安はWHOで総エネルギーの10%未満、できれば5%未満(約25g)
- 甘味料への置き換えは、体重管理の目的ではWHOが勧めていない
- 食事は病気の治療ではありません。持病や気になる症状がある方は医師に相談を
甘いものを我慢しすぎず、「どれだけ、何から」とっているかを知ることから始めてみてください。
参考
- WHO「WHO calls on countries to reduce sugars intake among adults and children」(2015年)https://www.who.int/news/item/04-03-2015-who-calls-on-countries-to-reduce-sugars-intake-among-adults-and-children
- WHO「Guideline: sugars intake for adults and children」(2015年)https://www.who.int/publications/i/item/9789241549028
- WHO「WHO advises not to use non-sugar sweeteners for weight control in newly released guideline」(2023年)https://www.who.int/news/item/15-05-2023-who-advises-not-to-use-non-sugar-sweeteners-for-weight-control-in-newly-released-guideline
- Malik VS, Schulze MB, Hu FB. Intake of sugar-sweetened beverages and weight gain: a systematic review. Am J Clin Nutr. 2006. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16895873/
- Malik VS, et al. Sugar-sweetened beverages and risk of metabolic syndrome and type 2 diabetes: a meta-analysis. Diabetes Care. 2010. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20693348/
- Johnson RK, et al. Dietary sugars intake and cardiovascular health: a scientific statement from the American Heart Association. Circulation. 2009. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19704096/
- Knüppel A, et al. Sugar intake from sweet food and beverages, common mental disorder and depression: prospective findings from the Whitehall II study. Sci Rep. 2017. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28751637/





