食品添加物と非行行動の関係性:研究でわかっていること・わかっていないこと

大声を出してこぶしを上げる男の子

食品添加物が子どもの非行の原因になる、という科学的な根拠は今のところありません。

一部の合成着色料と保存料を混ぜた飲み物で、子どもの多動性の指標がわずかに上がったという英国の研究はありますが、非行を調べたものではなく、評価も分かれています。

気になる方は、特定の添加物を怖がるよりも、食品表示を見て選ぶ習慣と、バランスのよい食事を大切にしてみてください。

子どもの非行は増えているの?

法務省の犯罪白書(令和7年版)によると、少年による刑法犯の検挙人員は平成16年以降減り続けたあと、令和4年から増加に転じ、令和6年は2万9,675人でした。

一方で、少年の人口比(人口10万人あたりの検挙人員)は昭和56年の1,432.2をピークに大きく下がっており、令和6年は278.8です。

非行の背景には家庭や学校、友人関係などさまざまな事情があります。特定の食品や添加物が原因だと示した公的な統計はありません。

合成着色料と子どもの行動に関係はあるの?

色とりどりの粉末

英国サウサンプトン大学の研究

2007年、英国で3歳児153人と8〜9歳児144人を対象に、合成着色料と保存料(安息香酸ナトリウム)を混ぜた飲み物と、それらを含まない飲み物を比べる試験が行われました。その結果、一部の条件で多動性の指標がわずかに高くなったと報告されています(McCannら、Lancet誌)。

ただし、次の点に注意が必要です。

  • 調べたのは複数の添加物を混ぜたもので、どの添加物が影響したのかはわかっていません
  • 対象は一般の子どもで、ADHD(注意欠如・多動症)の診断や治療を調べた研究ではありません
  • 「多動性」は行動の評価指標で、非行との関係を調べたものではありません

なお、欧州食品安全機関(EFSA)はこの研究について、影響は小さく証拠は限定的で、許容一日摂取量を変更する根拠にはならないと評価しました。

欧州では「禁止」ではなく「注意表示」

「タール系色素は欧米で禁止されている」という話を見かけますが、正確ではありません。EUでは、この研究で使われた6種類の着色料は使用が認められたうえで、「子どもの活動や注意に悪影響を及ぼすおそれがあります」という注意表示が義務付けられています。

EUの表記名称日本での名称
E102タートラジン食用黄色4号
E110サンセットイエロー食用黄色5号
E129アルラレッド食用赤色40号
E124ポンソー4R食用赤色102号
E104キノリンイエロー—
E122カルモイシン—

日本での考え方

日本では、指定添加物は食品安全委員会による評価を経て、人の健康を損なうおそれのない場合に限って使用が認められ、使用できる量などの基準が定められています。長い食経験から例外的に使用が認められている既存添加物についても、国が安全性の確認を進めています(消費者庁)。

甘いものを食べると攻撃的になるの?

スプーンにのせた粉末

「甘いものをとると血糖値が乱高下してキレやすくなる」という説があります。しかし、砂糖と人工甘味料を比べた二重盲検試験をまとめた解析(Wolraichら、JAMA誌、1995年)では、砂糖が子どもの行動や認知に影響するという結果は得られませんでした。ごく小さな影響や、一部の子どもへの影響までは否定できないとも書かれています。

とはいえ、砂糖のとりすぎは虫歯や体重増加につながります。WHOは、遊離糖類(加えられた砂糖やシロップなど)を1日の総エネルギーの10%未満にすることを勧めています。

加工肉の添加物は控えたほうがいいの?

キッチンの台にのせた粉

ハムやソーセージなどの加工肉については、WHOの専門機関である国際がん研究機関(IARC)が2015年、加工肉の摂取を大腸がんの原因となる「グループ1」に分類しました。毎日50g食べるごとに、大腸がんのリスクが18%高まると推定されています。

これは加工肉そのものの評価で、特定の保存料だけを取り上げたものではありません。また、子どもの行動や非行との関係を示したものでもありません。食べる量や頻度をほどほどにするのが現実的です。

家庭でできる食事の工夫は?

1. 食品表示を見る習慣をつける

食品を手に取って選ぶ女性

原材料名の欄を見れば、何が使われているかを確かめられます。消費者庁のガイドラインでは、何を添加していないのかがはっきりしない単なる「無添加」の表示は、消費者の誤解を招くおそれがある例として挙げられています。パッケージの目立つ言葉だけでなく、原材料名の欄もあわせて確認すると安心です。

2. 手作りのおやつも取り入れる

自宅で料理をする女性

手作りなら、何が入っているかが自分でわかります。毎日でなくても、週末に親子で作るだけで楽しい時間になりますね。

3. 主食・主菜・副菜をそろえる

和食の献立

ごはんやパン、肉・魚・卵・大豆製品、野菜や果物を組み合わせると、栄養のバランスがとりやすくなります。農林水産省の「食事バランスガイド」も参考になります。

子どもの行動が気になるときは?

落ち着きがない、衝動的な行動が多いなど気になることがあれば、食事だけで何とかしようとせず、かかりつけの小児科や地域の相談窓口に相談してください。食事は治療の代わりにはなりません。

まとめ

笑顔の家族

  • 食品添加物が子どもの非行の原因になるという根拠はありません
  • 一部の合成着色料と多動性の関係を示した研究があり、EUでは注意表示が義務付けられています
  • 砂糖が子どもの行動に影響するという結果は、研究では確認されていません。ただし、とりすぎには気をつけましょう
  • 表示を見て選ぶこと、バランスのよい食事、気になるときは専門家への相談が大切です

不安になる情報ほど広まりやすいものです。確かな情報をもとに、ご家庭に合った食事を無理なく続けていきましょう。

参考

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